商工会活用術 専門家派遣編

商工会を活用し、
お店と商品の
ストーリーを
作り上げました。

支援を受けるきっかけ 

 創業した平成23年からずっと商工会の会員だったのですが、本格的にお世話になったのはこの専門家派遣の活用を始めた3年前からです。商談会に何度か出させていただいているのですが、一般の企業と同じ場ですと提案力がとても拙いということを実感しました。また商談会で繋がっても、その後商品を上手く流通させることが出来なかったりしました。福祉が基盤の会社ですが、ビジネスの部分もきちんと育てていかなければいけないと考えました。また、これまで4つの就労継続支援事業所がバラバラにやっていたことを、きちんと会社として一本化していきたいと考えてお願いしました。
 

取り組み・活用方法

 「プチエクレア」では、障害福祉サービス利用者が伝統的なフランスパンや菓子の製造・販売を行っています。もっとお客様に選ばれる商品づくりのために「何かテーマを作ってお菓子づくりをしていこう」ということから始めました。そのテーマとお菓子をどうマッチングさせ、それをどうお客様に伝えていくかということで、これまでもずっと販売して来たブラウニーから始めました。
 私たちの基盤にあるのは福祉なので、そのパンやお菓子のある食卓を家族で囲む幸せを感じて貰いたいということ。会社のある「愛子」という土地は、四季の感じられる素晴らしい森に囲まれた場所であり、命を育むのにとても素晴らしい場所であるということ。それらのテーマから「猫のお母さんが作る手作りお菓子」というコンセプトを導き出し、猫のお母さんと5匹の猫のキャラクターを作っていただき、お話しをまとめていただきました。
 ブラウニーは冬だけのお菓子なので、2年目は「十色のマカロン」のお話しとマカロンを作りました。森の木漏れ日から10色の光をイメージして、その光の色のマカロンです。また通常のクッキーもステップアップして、ホワイトクッキーは雲のクッキーに、砂糖でキラキラしているクッキーは雨や水たまりをイメージし、子猫たちが雨が早く上がるように祈っている、子猫たちのおまじないクッキーになりました。
 こういったコンセプトを作っても、話だけではなかなかみんなに伝わりにくいので、ストーリーのパネルを作って店舗に展示しています。商品だけでなく、お店もギャラリーのようにしていこうということです。そうすることで、私たちとお菓子作りに取り組む工場長と利用者が作り上げたコンセプトを、お客様にも伝えていければと思います。
 

支援を受けての感想

 私たちにはない専門家の知識と考え方に、とても助けられました。これまでは作り手からの思いが強過ぎたので、そうではなくて買い手からの視点で物事を見るということを、裏付けを持ってお話しいただき、とても説得力がありました。また専門家に対する信頼感もあり、みんなでお話を聞き考える姿勢を取ることが出来ました。
 マカロンに取り組んだあとに、店内のパネルを作ったのですが、そのコンセプトをここで働いている100名に見える化しようということで、ポスターやカードを作る際にパソコンの作業や便利なソフトも教えていただきました。その仕事を、元々カードやシールを作っている「Ma rue(マル)」に振り分けることが出来ました。コロナでそちらの事業所の仕事がほとんど動いていなかったのでちょうど良かったです。
 今後はスーパーなどで私たちの商品を見たお客様に、こちらの店舗まで来ていただくような広告を考えたり、来年4月の商談会で使用するパンフレットづくりなどに取り組んでいきます。

事業所のPRポイント

 MAYURAは障がい者福祉サービス事業をトータルで行っている法人です。パン・菓子の製造・販売を行っている「プチエクレア」、夢メッセのレストランを運営している「夢まるごと」、ファッション関係の商品を扱っている「Marue(マル)」、カフェ「青い鳥」、そして相談支援事務所「マ・メゾン」の5つの事業所があります。
 201112月にMAYURAを設立しました。父が北海道・東北で経営していたパン屋を手伝っており、八戸の店舗で障がい事業をやっている方と知り合い、向こうで実習の受け入れなどの取り組みなどをしようかと考えていた矢先に震災がありました。その時に仙台でも支援学校の先生と繋がり、震災後はみんなそうだったと思うのですが、何か出来ることをやろうと思い、最初に「プチエクレア」を立ち上げました。今は雇用・利用者含め100名程度になっています。
 「プチエクレア」の商品はこの店舗の販売だけでなく、北は築館から南は大河原まで、「おてんとさん」やウジエスーパー、仙台市内ではイオンでも扱っていただいています。
 

商工会の活用ポイント

 商談会に出た時に、今回の専門家派遣など様々な取り組みをしましょうとお声がけいただきました。これまでも商工会報やメールでの情報はいただいていましたが、それを見ていた時はあまり活用しようとは思いませんでした。声をかけていただき、説明に足を運んでいただいてご縁が繋がって良かったです。今後は事業再構築補助金を申請したいと考えていますので、事業計画書の作成の支援をお願いしたいと思います。

【活用した支援メニュー】
専門家派遣で
ビジネスモデルを構築

 商談会に出た際に、一般の企業に比べて提案力の拙さを痛感しました。福祉が基盤の会社ですが、商品をきちんと販売していかなければならないので、専門家にビジネスモデルの構築をお願いしました。会社としての方針、商品のコンセプトなどを掘り下げていただきました。「猫のお母さんが作る手作りお菓子」というコンセプトで、猫のキャラクターを作っていただき、私どもが作るブラウニーとマカロンのストーリーをまとめ販売への足掛かりになりました。

取材先企業

株式会社MAYURA
代表取締役 千葉 真由美さん
 
障がいのあるかたが自立した日常生活や社会生活を営むことが出来るよう、障害福祉サービス事業所を経営し就労の機会を提供し、合わせて相談支援事業を行っています。

事業者情報

株式会社MAYURA
989-3127 宮城県仙台市青葉区愛子東1-1-10
TEL022-393-8310 
MAILmayumi@mayura-partner.jp
WEBhttps://mayura-partner.jp/

ブラウニー販売再開
プチエクレアのお菓子を食卓へ

 マカロンがコンセプトもきれいにまとまっており、またブラウニーも11月から販売を再開します。ぜひお店のほうにそのストーリーを見においでください。コロナが落ち着けばカフェ「青い鳥」の再開も考えていきたいと思います。